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後輩を好きなる上手な接し方!心理学から学ぼう!お悩み解決!

後輩接し方

部活やバイトで後輩ができた時、先輩としての後輩への接し方の正解ってなんだろう?って不安になりますよね。指導の仕方に頭を悩ませてはストレスフルになることもあると思います。そんな時にはストレス解消することが大切です。しかし、それだけではなく、一度後輩への接し方について見つめ直してみるのはいかがでしょうか?今回こちらでは、指導に悩んでいる、そんな悩みを抱える方に是非知ってほしい、心理学から学ぶ後輩との上手な接し方をご紹介します。

後輩接し方

後輩への上手な接し方とは

そもそも、後輩への「上手な接し方」とはなんでしょうか。一概には言えませんが、あくまでもサポート役として接することだと思います。「後輩」というのは経験や年齢が自分より浅い・低いからといって1人じゃ何もできないわけではありませんし、また劣っているわけでもありません。まずは後輩を1人の人間として見て尊重し、自分は後輩を成長へと導く為のサポーターなのだと考えましょう。つまり、存在価値に上下・優劣をつける縦の関係ではなく、サポートが必要な仲間という横の関係を築きあげるということです。

後輩接し方

後輩への指導時に押さえておきたい4つの『接し方』ポイント

後輩との間柄が仲間のような関係とは言いつつも、礼儀や作法を特に大切にしている部活やバイト先では、そこでのルール、立ち振る舞いには気をつけてもらわないといけません。正に「郷に入っては郷に従え」を教えないといけないわけです。そんな時に気をつけたい4つのポイントをご紹介します。

ポイント1.一度に教える量を少なくする

人間誰しもそうだと思いますが、1度に覚えられることは限られています。自分の好きなことや印象に残っていること等は滅多に忘れませんし、反対に「興味のないこと」や「覚えさせられていると感じること」はすぐに頭の中から離れてしまいます。後輩が覚えやすいように、教える量を細かく分けて、頭の中で整理する時間をあげましょう。また、それぞれの説明を終えた後にはワンクッション置いてあげましょう。例えば、ある日にAとBとCのことについて教えるとします。Aのことを説明し終えたら、「上手く伝わったかな?」や「今までのところで何か質問・思うことはある?」等、YesかNoで答えられる質問だけではなく、後輩が今どんな気持ちかや何を疑問に思っているかを聞き出してあげましょう。

ポイント2.数時間後か数日後に復習させてみる

この前教えたことができていなかったり、覚えていなかったりした時に「あれ?」と思うかもしれませんが、「仕方ないか」と割り切ることも大切です。というのもエビングハウスの忘却曲線をご存知でしょうか?

エビングハウスの忘却曲線 研修

画像参照:俺の受験 いぶきさん

ドイツの有名な心理学者、ヘルマン・エビングハウスが唱えた、人が物・知識をどのくらいのペースで忘れるか、また初日と比べて何%のエネルギー使用でそれをまた覚え直すことができるか、といったことを簡単に表したグラフです。注目していただきたいのは、こちらの実験は被験者にとって興味のない・意味のない事柄を覚えさせた時にでた数値だということです。正に「後輩」にピッタリのグラフではないでしょうか。どんな部活・バイトに入るにしても、後輩にとってはその領域が新しいものや、最初は興味を引かれないものがほとんどです。それらのことを記憶に定着させようと思うと、同じことを数時間、数日おきに違う方法で教えてみる、又はどのくらい理解しているかを説明してもらうのが1番確実な方法です。後輩指導の中でここが1番もどかしくて難しい部分かもしれませんね。

ポイント3.褒めるのではなく勇気づける

オーストリアの心理学者アルフレッド・アドラーをご存知の方は多いと思います。彼の心理学の中でも特に大切にされていたことの1つに、褒める・叱るではなく、「勇気づける」とあります。叱るは相手の言動を恐怖で支配するものですが、褒めるは相手の言葉と行動を快感で支配するものです。もちろんその2つが悪いわけではありません。単純反復作業やルーチンワークには作用します。しかし問題点は、自分の言行を他人に頼ってしまっている、いわゆる外発的動機づけに依存してしまっているということです。そうするとこんなことが起きてきます。

  • 短絡的思考を助長する
  • 創造性がなくなる
  • 依存性が生じる
  • 自主性を損なう

先に述べたように「先輩」はあくまでも「後輩」をサポートする仲間的存在です。後輩をコントロールするような接し方では、後輩自身の成長には繋がりませんし、ここではそれを先輩の皆さんにおすすめしたいわけではありません。おすすめしたいのは、内発的動機づけを促すような接し方です。

内発的動機づけとは?

内発的動機づけというのは、相手(後輩)が出した結果に対して褒める・叱るの手段をとるのではなく、結果がどうであれ、相手の気持ちに共感し、頑張った過程に注目する等して、直面している課題や困難に自分(後輩)自身で立ち向かうための勇気・活力を与えることです。

外発的動機づけと内発的動機づけの性質とその違いを、分かりやすく説明してくれている図があります。

画像参照:ログミー

そして、褒めているのか勇気づけているのかがわからなくなった時は、それを伝えている時のマインドを意識するといいそうです。相手(後輩)をコントロールしようとして言っているのか、相手の気持ち・行動に共感して言っているのかということです。これを心がけることで尊重し合う横の関係にだいぶ近づいていくと思います。

ポイント4. I(アイ)メッセージで伝えよう

アメリカの心理学者トマス・ゴードン博士によって始められた「親業」、親としての役割を効果的に果たすための訓練の一部分に、「I(アイ)メッセージで伝える」というのがあります。意味はそのままで「私」を主語にして、相手に要望や要求を伝える話し方です。例えば、部活やバイト先で、後輩が使ったものを出しっぱなしにしているとします。そんな時にI(アイ)メッセージで伝えるとこうなります。

「出したものを片付けてくれたらすごく助かるな。」

あれ?私I(アイ)はどこだ?と思われた方、それもそのはずです。日本語は文中に主語や目的語を滅多に使用することはありませんが、あえてだし、語順を英語風にすると、

「私I(アイ)はすごく助かる→あなたが出したものを片付けてくれたら。」

となります。この文章の主語は「私」です。「私」を軸・メインにした上で、他の事柄も話されていますね。

一方でI(アイ)メッセージとは反対のYou(ユー)メッセージというものがあります。先ほどの例でYou(ユー)メッセージを使って言ってみると…

「出したものは片付けておいて」

となります。そして主語を浮き彫りにすると、

「あなたYou(ユー)が出したものは片付けておいて」です。

I(アイ)メッセージと比べると強制させられている様な話し方ですよね。選択肢が「片付ける」という他になく、かなり窮屈な状態です。そして窮屈だと不満は募りやすく、抗いたくなるのが本能だと思います。

伝え方が変わるだけで、受け取り方も変わってきませんか。何かものを頼まれる時でも「これしといてね」といわれるより「これをしてくれると嬉しいな」と言われた方が遥かにやる気にさせてくれます。きっとあなたの後輩もそう感じているはずなので、指導の時は上手くI(アイ)を使いこなして、あなたのメッセージを伝えましょう。

後輩接し方

もし後輩への接し方によるストレスを感じたら

「後輩」を良い方向に導くのは「先輩」の義務であると感じる方もいらっしゃると思います。そしてその義務を上手く遂行できなかった時に、後輩と自分自身にストレスを覚えることでしょう。そこでアドラー心理学の入門書、「嫌われる勇気」では「哲人」は「青年」にこう言いました。

「自分の課題と他者の課題を分離しなさい。」

「あらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むこと、あるいは自分の課題に土足で踏み込まれることによって引き起こされる。」

ここでいう自分(先輩)の課題は指導をすること、後輩を良い方向に導くことです。そして他者(後輩)の課題は指導を受けた上でどういった行動にでるか、先輩が思う良い方向に導かれるかどうかです。つまり後輩が選択した言動に先輩は介入する必要はありませんし、その結果どうなろうともそれは後輩の課題なのです。

一見すると、なんだか冷たくて無責任な感じがしますよね。責任感が強くて優しい方だと、より強くそう感じることだと思います。だからといって放任主義を勧めているわけではありません。大切なのは、後輩がどんな選択をして、どんな行動にでたかを知った上で見守るのです。そして、彼女/彼らが動きやすい様に環境を整えてあげるのが先輩の課題ではないでしょうか。

参考ウェブサイト:Diamond online. “「課題の分離」こそがあなたを変え、あなたを自由にする!”.   2020-01-28. https://diamond.jp/articles/-/226815?page=2,

後輩接し方

後輩に好かれる接し方!

前のセクションで述べた通り、後輩自身の心の動きやあなたにどういったアプローチをするかは彼女/彼らの課題です。なので先輩のあなたはそんなこと気にしなくて大丈夫です。おしまい。…..とはもちろんいきません。「課題」ならば、分離して考える方が後輩とあなたのためにもなりますが、人間の持つ、他者に好きになってほしいという欲求は凄まじく、気にしなくていいといわれてもなかなか割り切れるものではありません。

実際にアメリカの心理学者・哲学者のウィリアム・ジョーンズはこう言いました。

「人間の持つ性情のうちでもっとも強いものは、他人に認められることを渇望する気持ちである。」

他者(後輩)に好かれるということは、あなたの存在を肯定的にみて、あなたを認めているわけですから、それは心躍らせることですよね。なので後輩に「私」を好きになってほしいと感じることはごく自然かつ抗えない欲求です。

後輩が好きな先輩になるには?

では、具体的に後輩が好きな先輩になるにはどうしたらよいのでしょうか?

心理学の用語に「返報性の原理」とあります。これは相手から受けた好意的もしくは敵意的アクションに対して、何かお返しをしたいと感じる心理のことです。もちろん親しみを込めた言動であればあるほど、こちらも親しみを込めますし、反対に疎ましい言動だと、こちらも疎ましく接します。「他人は自分自身の鏡である」とよく言いますが、本当にその通りですね。好かれたい、認められたいのならば、まずは自分から相手(後輩)に好意的アクションを起こしてみましょう。挨拶や感謝をこまめに伝えるといった、「小さいけれどすごく大切なこと」から始めると良いと思います。

後輩接し方

後輩への接し方を学んで自分の成長にも繋げよう!

後輩との上手な接し方を心理学者たちの理論や言葉を借りながらご紹介してきました。見たこと、聞いたことがあるものもあれば、新しい考え方との出会いもあったと思います。そしてこれらはあくまで理論であり、実験結果から導き出された答えにしかすぎません。実際の現場では上手くいかなかったり、綺麗事で終わってしまうこともあると思います。それでも「知る」ことで、他者(後輩)と接する時の選択肢が増えたのは大きな収穫ではないでしょうか?この記事が少しでも後輩への接し方にお悩みの方の助け船になることができれば幸いです。